「狼谷くんと仲直りしたんだって?」


連休明けの登校日。
学校へ向かうバスの中、「おはよう」の次にカナちゃんの口から放たれたのがその質問だった。


「あ……うん。あの、ごめんね。ほんと、色々気遣わせちゃって……」

「全然。……って言いたいところだったけどさあ」


珍しく含みを持たせた口調で息を吐いたカナちゃんが、刺々しい視線を送ってくる。


「そこまで幸せそうなオーラ全開でこられるとちょっとむかつくよねえ」

「えっ」

「顔に書いてんのよ。いいことありましたって」


そんなに分かりやすく浮かれていたんだろうか。慌てて自分の頬を引っ張ったけれど、緩み切った表情筋には抗えなかった。

ふと頭によぎった疑問を一つ、素直にぶつけてみることにする。


「……カナちゃん、何で私と玄くんが仲直りしたって知ってるの?」


だって、私は誰にも言っていない。それこそ、今日学校でみんなに会ったら直接話して謝ろうと思っていたからだ。

隣の華奢な肩が跳ねる。ぎく、という効果音が相応しい。


「あー……いや、えっと、津山くんから聞いた」

「そうなんだ」