放課後、たまたま座ったファストフード店の一角が他校の奴らの特等席だったらしく、津山は胸倉を掴まれていた。
すぐさま立ち上がって謝罪した津山より、今もこうして座り続けている俺の方が幾分か生意気なはずなのだが、奴ら的には髪色が判断基準らしい。


「じゃあとりあえず奢ってくんね? 俺ビックバーガーね」

「いや、あの、」

「何? 文句あんの」


いえ、と引き下がった彼が非常に不憫だが、正直俺だって迷惑している。
さて今回はいくら奢らされるんだか。完全に他人事として傍観を決め込んでいると、鋭い視線が飛んできた。


「なあ。お前さっきからずっと見てるけど何なわけ。お前にも言ってんだけど」


どうやら今日は厄日のようだ。
仕方なく腰を上げて、俺は息を吐いた。


「いま席空けるんで。どーぞ」

「は? 何それ。舐めてんの?」

「いや、別に」


穏便に済ませようと平坦に述べたのがいけなかったのか、そのまま店外へ引き摺り出される。
流石に殴られる趣味はなかったので抵抗はした。俺を簡単には殴れないと踏んだ奴らは、標的を津山に変え、せせら笑う。


「よく見ればお前可愛い顔してんなあ。体もひょろいし、そんなんでなに調子乗ってんの? だっさ」