溢れる異常なまでの愛情に、周囲は段々と「あんな男に捕まって白さん可哀想」という同情に移りつつある。
玄への恋慕がある女の子は最初こそ存在すれども、次第に落胆や失望へとその瞳を染めていった。


「別にどうでもいい。羊ちゃんは好きって言ってくれたし」

「はいはい惚気アザマース」


どこか落ち込んでいるように見えたのは気のせいだったかもしれない。
しっかりカウンター攻撃を食らったことだし、そろそろ切り上げることにする。

本来の目的であった充電器も無事にゲットして、立ち上がった。


「……あれ。玄、ピアス変えた?」


そういえば何か違うと思ったら。
いま彼の耳に光っているのは、小さいオレンジの石が埋め込まれたピアスだ。シンプルではあるが、黒髪の彼がつけていることで少々目を引く。


「うん、今さっき変えた」

「えっ、珍し」


ずっと同じやつを毎日欠かさずつけていたのに。
素直に驚いていると、玄が自身の耳朶を触りながら微笑んだ。


「羊ちゃんがくれた」