「抹茶味とー……え、何これ、八ツ橋味?」

「とりあえず後輩へのお土産用で一箱買ってくわ!」


ふらっと立ち寄ったお店で目新しい商品を眺めながら、カナちゃんとあかりちゃんが口々に言う。
少し年季の入った陳列棚や暖簾からは歴史を感じられた。

所は京都。秋も深くなってきた今日この頃、私たちは修学旅行へやって来た。
飛行機のお世話になったのが昨日のことで、今日は一日中京都府内で自由行動だ。


「白さん白さん」


一人奥の方で商品を見ていた九栗さんが、ちょいちょいと手招きをする。
言われた通り近付いて隣で肩を並べた私に、彼女は明るく笑った。


「これ可愛いなあと思って。白さんっぽい!」


九栗さんが指しているのは、金平糖のモチーフがついたヘアピンだった。
その横にはイヤリングやヘアゴムも揃っているようで、パステルカラーが目に優しい。

せっかくだし、記念に一つくらい買っていこうかな。
旅行に来ると財布の紐が緩みがち。逡巡していると、後ろから陽気な声が飛んできた。


「え、いいじゃん可愛い。色違いにして四人でつける?」