ここで買ってしまった方が効率的ではあるけれど、帰る途中にも少し遠回りすればお店はあるし。
そうしよう、と内心結論付けて彼の背中を追いかけた。


「今日はありがとね。付き合ってくれて」

「え! いやいや、むしろ私が付き合ってもらったっていうか……」


ご飯も映画も、私の好きな物ばかりで。狼谷くんはこれで良かったんだろうか、と思考が流れそうになったところで、首を振った。
彼は今日一日ずっと楽しそうにしていたし、そこを疑うのは失礼だ。

駅までぽつぽつと会話を交わしながら歩いて、立ち止まる。


「じゃあ、えっと……また月曜日だね。ほんとに今日はありがとう、楽しかったよ」


狼谷くんを見上げて軽く手を挙げると、彼は「え」と私を見返した。


「いや、送ってくよ。もう暗くなってきたから危ないし」

「えっ!? あ、いやでも、狼谷くん反対側だよね……?」

「大丈夫だよ。羊ちゃんに何かある方が困るから」


気持ちは有難いし、私も狼谷くんともう少し一緒にいたい。
とはいえど、私には一つやり遂げなければならないことがあるわけで。


「えーと……この後ちょっと買い物して帰ろうかなと思って。申し訳ないから、本当に大丈夫だよ。ありがとう」