「あ、えっと、じゃあ、いただきます……」


おずおずと手を合わせる。

ふわふわの卵が乗ったチキンライスを一口スプーンで運んで、思わず目を見開いた。


「ん、おいしい……!」

「はは。めっちゃいい顔」


はしゃぎすぎて狼谷くんに笑われてしまった。恥ずかしさに俯きながら、もう一口頬張る。
正直すごくお腹が空いていたし、オムライスは食べ物の中でも特別好きな方だ。

夏休みも後半に入り、今日も今日とて狼谷くんのお家で勉強をしていた。週に三回、少なくとも二回はこうして会っている。

そして次第に晩ご飯までご馳走になるようになって、申し訳ないとは思いながらも甘えてしまっていた。

一度だけ、本当に悪いからと、帰る寸前までいったことはある。
玄関のドアを開ける直前で狼谷くんに「お願いだから一人にしないで」と懇願されて、かなり困惑した。そんなつもりはなかったのだけれど、寂しいとはっきり言われてしまうと断れなくて。