狼谷くんが穏やかに呟く。

しばらく真っ直ぐ進んでいくと、奥には神社があった。
人だかりができていて、どうやらお参りをしているみたいだ。

人気のレストランのような賑わいぶりに、そんなに有名な神社だったっけ、と首を捻る。


「えっと、お参り、する?」


隣の狼谷くんを見上げて尋ねると、彼は「うん、する」と頷いた。
私は別に並ぶのは構わないけれど、狼谷くんは苦じゃないんだろうか。神様とか結構信じるタイプなのかな。

風鈴のトンネルをくぐってきた時から感じていた違和感が、ようやく分かった。
こうして並んでいるのはみんなカップルで、周りの雰囲気が恋人同士特有の甘いものなのだ。気づいてしまうと少し恥ずかしい。

それから、私は狼谷くんとお参りを終えてもと来た道を戻る。
手を合わせて瞼を閉じる彼をこっそり盗み見た時、その綺麗な横顔に息を呑んでしまった。


「なんか、みんな仲良しだよね……」


風鈴を見上げながらなるべく曖昧な表現で伝えると、


「じゃあ、俺たちも仲良くする?」

「えっ」