欠員は代理を出さなければいけないというのを知って、私は非常に焦っていた。
あたふたしている様子を見兼ねてか、坂井くんが親切に「俺が行こうか?」と申し出てくれたのだ。

学級委員の彼も同じ時間帯に集まりがあるのでは? と思ったけれど、学級委員は通常の委員会とは少し違う位置づけだから、月に一度の集会でいいらしい。


「それにしても、変だよね」


ぽつりと、坂井くんはそう零した。


「あの時の様子からして、わざわざ距離を取るようなこと、しそうにもなかったのに」

「……え?」


彼にしては珍しく、掴みどころのない話し方だ。
何か考え込むように腕を組んだ坂井くんは、ちらりと視線をこちらに寄越す。


「白さん。これは俺の勝手な憶測でしかないけど、狼谷を助けられるのは白さんしかいないと思うんだよ」


助ける、とはどういうことだろう。狼谷くんが学校に来れなくなった理由と、何か関係があるんだろうか。


「坂井くんは、分かるの? 狼谷くんが来なくなっちゃった理由が……」

「そこまでは分からないよ。少なくとも体調不良ではないだろうけどね」