私の問いかけの意味を察したのか、九栗さんは弾かれたように顔を上げた。
そして「ごめん!」と相好を崩す。


「全然仲悪いとか、そういうんじゃなくてね。人数的にどうしても一人多くなりそうだったんだ」


九栗さんは交友関係が広いし、割と誰とでも仲良くなれるから、きっと率先して抜けてきたんだろう。

なんだ、そういうことか、と口々に感想を述べて、私たちは胸を撫で下ろした。


「そういうことなら全然! よろしくね、九栗さん」

「ありがとう! 最高に楽しもうね!」


そんな気合いの入れ方が彼女らしいなあと思う。

教室内を見渡すと、まだ決まっていない班も沢山あるようだ。
近くの席をぶんどって、四人でだらだらとお喋りタイムに突入する。


「夏休みはみんな遊びに行ったりするの?」

「帰省はするかなー。でも全然決めてないよ」

「彼氏でもいたら潤うんだろうけどね〜。生憎予定皆無だわ」


愚痴やらなんやら垂れ流しながら、窓から入ってくるぬるい風を享受する。


「彼氏かぁ。あれ、みんな彼氏いないんだっけ?」

「いないよー。いたらイベントごとはさぞ楽しいんだろうけど」