能ある狼は牙を隠す




「あ〜、なるほど! だからずっと答え合わなかったのか〜!」


ぽん、と九栗さんが手を叩く。

結局、狼谷くんは私の提案に二つ返事で了承してくれた。
彼の負担が増えるなら遠慮なく断って欲しいと何度も言ったんだけれど、大丈夫の一点張りで押し通されてしまった。


「うん。こんなに長々時間取って計算して、合ってなかったらゼロ点って虚しいから、細かく計算過程書いた方がいいよ」

「うんうん! そうだよね、ありがとう!」


丁寧に説明する狼谷くんに、九栗さんは意欲的に返事をして拳を握る。


「なあ狼谷、これって合ってる?」

「ああ、途中までは合ってる。後半の展開はこれじゃなくて、先週習ったやつ使うんだよ」

「そっちか〜! まだ覚えてねえわ!」


口を尖らせる霧島くん。
そんな様子を横目に、私はさっきから黙々と問題を解いていた。

狼谷くんが色々教えてくれたおかげで、解き方が分からずに手が止まることはなくなった。
むしろ今は九栗さんと霧島くんの方がピンチで、狼谷くんも二人にあれこれと世話を焼いている。


「よし、終わったあ……」

「どれ? 見せて」

「えっ」