ビシッと右手の人差し指で紙袋を指して、冷たく言い放った。
本当はこんな風に格好悪い事はしたくないし、言いたくない。
でも、沢山のお菓子を手に満更でもない様子の彼女に、笑い掛けられる程、オレは大人にも寛容にもなれなかった。
…何より、負けたようでプライドが許さない。
オレばっかりが彼女を好きなのかと思うと、胸の辺りがカァーと熱くなっていく。
今朝まで、あんなにドキドキと高揚していた気持ちはこのやり取りの中で、どんどん冷めて行った。
…なのに、「キライ」と言えない自分が嫌い…。
「えーと、本気?私はさ、天哉(たかや)からのお菓子の方が…」
「あげない。ていうか、それだけあれば十分だろ?それとも何?そんなに沢山貰っといて、オレのも欲しいとか都合のいい事考えてんの?それこそ冗談じゃねぇよ、ほんとに…」
そこまで捲くし立てて、きゅうっと口唇を噛み締める。
そうしなければ、「やめてくれよ!」と叫んでしまいそうだったから…。
「他のやつから貰ったもんなんか食べんなよ!」と。
あぁ、なんて格好悪いんだろう、俺。
強気なことを言いながら、心では女々しくそんなことを思ってる。