その音が消える前に、君へ。




なんでこんな場所にこんな物達が準備されているのだろうと、キョトンとしていると榊くんがテントへと入るように促した。



「驚いた?」


「驚くと言うより、ちょっと理解できない」


「肝試しをやるって聞いてから準備しておいたんだ。なんとなく菅原さんとペアになりそうな予感して、誘ってみようかなって」


「なんで私なんかと……」


「波長が合う感じがしてさ。そんな感じしない?」



その質問に答えられずにいたが、榊くんはお構いなしに最終準備であろう望遠鏡を整え始めた。


テントの中には、お菓子に飲み物、缶詰までも用意されていて準備の良さに驚きを通り越して呆れてしまう程だ。



「よし。位置はざっとこんなもんかな」


「ちゃんと星……見えるの?」


「疑うぐらいなら、自分の目で確かめてみなよ」



そう試されるような言い方をされ、おずおずと望遠鏡を覗き込んだ。



「っ!!」



驚きと興奮が入り混じって、望遠鏡から一旦離れて榊くんを見た。


どこか勝ち誇った笑みに悔しくなってもう一度覗き込む。


たくさんの星達がその身を輝かせながら自分の存在を示そうとしているような、そんな光ははるか昔に光り輝いたものが、現代に暮らす私達の元へと届いている。


今という時を生きながらも、昔と繋がっていると考えると不思議でいっぱいだ。