その音が消える前に、君へ。



そんな榊くんの横顔に顔が熱くなっていく。


昼間でもないのになんで体温が上がってしまうのか、訳が分からなかった。


そんな私の体温が榊くんにも伝わってしまったのか、榊くんがじっと私を見つめた。


そんな榊くんの視線に対応する能力など私には、持ち合わせていない。




どうしてこんなにも、胸が苦しいのだろう。


どうしてこんなにも、切ないのだろう。


どうしてこんなにも、嬉しいのに泣きそうになるのだろう。


どうしてこんなにも、この手を放したくないと願ってしまうのだろう。




どうしてばかりが募る一方で、思考が追いつかない。






この感情の答えをーー私は知らない。