だが、あまりこう言ったものの楽しみがイマイチ分からない。
楽しむものではないと思うものの、スリルを味わいたい人にとっては楽しいものなのだろう。
「度胸あるね。俺こういうものの楽しみ方分からないから、乗り気にはなれないんだよね」
「それは、一緒。楽しいとは思えない」
「ははは、だよね」
楽しみ方が分からないと言いながら、どこか楽しそうに笑っている。
榊くんも、やっぱり分からない。
「お前ら仲いいからそこペアでいい?」
「……え?」
「賛成!じゃあ、あとはくじで決めよ!」
「そんな雑に決めなくても――」
そんな私の声は誰にも届くことなくあっさりとペアが決まってしまった。
いや、多分これは仕組まれた。
あの三人のにやにやした顔を見れば分かる、絶対楽しんでる。
ちらりと榊くんを盗み見れば、どこか遠い目で皆を眺めていた。
それはそうだ、こんなに愛想のない女とペアになってしまったのだから。
参加拒否が出来ることならしたいが、今更拒否したら榊くんとのペアを拒否するという誤解が生まれそうだ。
ここは我慢して、我慢してもらおう。



