興味のなさそうなその感じに、私も彼と同意見だと示すかのように机の下で本を開き始め、文字を目で追った。


実験的な行事は成績にも響くわけもないし、この行事の高いお金を出すのは国だ。


思い出作りの一環としてはいいのかもしれないが、友達の少ない私には陽菜乃がいないメンバーに当たってしまえば、一人ぼっちは確定だ。


あまり気持ちが踊らないこの行事に対してどう休もうかと考えていた時だった。


クラス内のざわめきが大きくなり、陽菜乃が私の肩を叩いた。



「紗雪！私と一緒だよ」



そう言いながら黒板に書き出された文字達を見て、私は本を閉じる。


私の名前の隣に書かれた“榊 絢斗”という文字に思考が停止した。


陽菜乃の呼びかけに何とか答えるものの、反応は鈍る。


どうして神様はこうも私に意地悪をするのだろう。


仕組まれた罠なのか……なんなのか。


関わりたくないのに、どうしてこんなに関係というものはひょんなことから結ばれてしまうのだろう。


しかし心の奥底でどこか喜ぶ自分がいて、気持ちが複雑になっていく一方だ。