それからと言うもの、関わりを持たぬように意識し彼の音に耳を傾けないように過ごしてきたーーつもりだった。
それだというのに、気がつけば榊くんの姿を目で追ってしまう自分がいて嫌気がさしていた。
この気持ちの正体が分からないまま、夏休みへと突入しようとしているその日のHRで、臨海学校が今年から開催されることが報告された。
ざわめく教室内で前の席の陽菜乃も、体を捻らせ瞳の輝きを見せてきた。
実験的な行事として三泊四日とそこまで長くはないが、陽菜乃にとって補修の報告よりも随分と嬉しい報告だろう。
臨海学校ではいくつかのグループに別れて各グループ事で一つのテーマを研究発表することが一つの目的らしい。
まあ、大体は遊び目的で行く生徒がほとんどだろうと思いながらも私は先生の話を右から左へと流すように聞いていた。
ふと榊くんを見れば、彼はまた窓の外を眺めている。



