その男子達に陽菜乃は自ら駆け寄って言った。
運動部同士仲が良いというのもあるが、陽菜乃は男女分け隔てなく誰とでも仲が良い。
お疲れと笑顔で声をかける陽菜乃に、男子達もどことなく嬉しそうだ。
ここに自分の居場所はないと、そっと存在を隠すようにしながら体育館の外へと抜け出した。
少し日差しの強い中、体育館の屋根の日陰を選びながら渡り廊下横の水飲み場へと辿り着く。
「菅原さん、試合は?」
聞き覚えのある声に歩く足を止めた。
振り向けば、日陰にしゃがみ込んで体を休める榊くんがいた。
体育館内ではまた次の試合が始まったのか騒がしい声が聞こえてくる。



