試合終了の合図と共に大きく歓声が響き渡った。


クラスメイトに囲まれる榊くんの表情は、図書室でのあの時のように寂しそうな表情はどこにもない。


爽やかな笑顔を浮かべながら、袖口で額の汗を拭っていた。


いつものような彼の音は今は聞こえることなく、歓声だけが聞こえてくる。



「へえー!!男子あの3年生相手に勝ったんだー!!」



すぐ真横で陽菜乃の声が聞こえ体をビクリと動かした。


バッと横を振り向けば、面白そうに笑う陽菜乃の顔があった。



「驚かさないでよ……」


「夢中になって紗雪が見てるもんだから、ついね」



気づけば女子の試合はとっくに終わっており、みんな男子の試合を応援していたみたいだ。


ニヤニヤと笑う陽菜乃に呆れつつ、前からやって来るクラスの男子に少し身構えた。