最低な人間だと思っている、こんな私が生きてるのだから。
でもこれを知っているのは自分一人だけ。
力が暴走した時も一時期あったけど、大切な人の死に直面したから、そう大人は解釈した。
違う、自分が彼女を死へと送り込んだ張本人なんだ。
そう何度も何度も自分を責め続けて生きてきた。
「違う、菅原さん……紗雪のせいじゃない」
「ううん。事実は事実。だからもう同じ過ちはしたくない」
掴んでいた榊くんの腕に力を込めた。
ちゃんと伝えなきゃ、この真実を。
「榊くん、君は大丈夫。大丈夫だから」
「え……」
少し驚いた顔をして私を見る榊くんに、私は優しく微笑んだ。
「君の音は濁ってないよ、ちゃんと透き通ってる。だからちゃんと帰ってきて」
そう言い切ると、涙が溢れ出してきた。
君の音が聞こえているこの事実が嬉しくて、切ない。



