「あのときは、しばらく気づいてもらえなかったんだろう? あ、勘違いしないでくださいね。それに関しては、俺は無関係なんで。第一、昔の話だし。いまでは笑える思い出だろ? なあ?」
月穂は臼田に伺うようにして顔を覗き込まれ、きゅっと唇を結ぶ。
すると、祥真がなにかに納得したようにつぶやく。
「そうか……」
刹那、月穂は腕を掴まれ、力強く引き寄せられた。
祥真の身体に密着している状態に、頭が真っ白になる。
再び思考が動き出す前に、祥真が月穂の肩を抱いて言った。
「ご心配なく。閉じ込めるときは、彼女ひとりじゃなくふたりきり――なんで」
「なにを言……っ」
「なにって想像にお任せするけど。じゃあ、そろそろ俺たちは失礼するよ」
赤面してたじろぐ臼田を置いて、祥真は月穂を連れて踵を返す。
背中に感じる臼田の視線よりも、今抱き寄せてくれている祥真のほうが気になって仕方がない。
触れられている肩が熱い。
歩調を緩めればすぐに、祥真の胸の中に捕まってしまいそうだ。
そんなことを考えてさらに体温が上がり、全身で鼓動を打つようにドキドキしていた。
角を曲がり、ひとけのない廊下に入る。そこからはもう、臼田の姿は見えない場所だ。
「……なぜあんなことを」
月穂は緊張のあまり、どうしても祥真の顔を見ることができない。
月穂は臼田に伺うようにして顔を覗き込まれ、きゅっと唇を結ぶ。
すると、祥真がなにかに納得したようにつぶやく。
「そうか……」
刹那、月穂は腕を掴まれ、力強く引き寄せられた。
祥真の身体に密着している状態に、頭が真っ白になる。
再び思考が動き出す前に、祥真が月穂の肩を抱いて言った。
「ご心配なく。閉じ込めるときは、彼女ひとりじゃなくふたりきり――なんで」
「なにを言……っ」
「なにって想像にお任せするけど。じゃあ、そろそろ俺たちは失礼するよ」
赤面してたじろぐ臼田を置いて、祥真は月穂を連れて踵を返す。
背中に感じる臼田の視線よりも、今抱き寄せてくれている祥真のほうが気になって仕方がない。
触れられている肩が熱い。
歩調を緩めればすぐに、祥真の胸の中に捕まってしまいそうだ。
そんなことを考えてさらに体温が上がり、全身で鼓動を打つようにドキドキしていた。
角を曲がり、ひとけのない廊下に入る。そこからはもう、臼田の姿は見えない場所だ。
「……なぜあんなことを」
月穂は緊張のあまり、どうしても祥真の顔を見ることができない。



