午後五時半になり、月穂はカウンセリングルームを出た。
小田の忠告通り、窓の外は今にも雨が降り出しそうな薄暗い雲が一面に広がっている。
月穂は足早に出口へ向かって廊下を歩いていると、スーツ姿の男と目が合った。
UALの社員かと思って会釈をしかけたとき、ざわっと嫌な感覚に襲われた。
「あれ? もしかして、〝りんご〟じゃねえ?」
その呼び方に、思わず固く目を瞑る。月穂は自分の予想が当たったとわかり、途端に不安そうな表情になった。
「えー。奇遇! なんでお前がこんなところにいるの?」
男は馴れ馴れしく話しかけてくるが、月穂は固まってしまって、笑顔どころかまだひとことも発することができない。
ようやく重い口を動かし、震える声を出した。
「う、臼田(うすだ)くん。どうして……」
「そのすぐ強張る感じ、全然変わんねえなー。今でもそんななの? まさか、今でも〝りんご〟って呼ばれてたりして」
臼田という男は、月穂の小学校のときの同級生だ。
当時から、今と同じように馴れ馴れしくズケズケとものを言う男だった。
〝りんご〟というあだ名も、臼田が一番初めにつけた。
昔、月穂が自己紹介するときに、緊張のあまり顔を真っ赤にしていたところから命名されたのだ。
小田の忠告通り、窓の外は今にも雨が降り出しそうな薄暗い雲が一面に広がっている。
月穂は足早に出口へ向かって廊下を歩いていると、スーツ姿の男と目が合った。
UALの社員かと思って会釈をしかけたとき、ざわっと嫌な感覚に襲われた。
「あれ? もしかして、〝りんご〟じゃねえ?」
その呼び方に、思わず固く目を瞑る。月穂は自分の予想が当たったとわかり、途端に不安そうな表情になった。
「えー。奇遇! なんでお前がこんなところにいるの?」
男は馴れ馴れしく話しかけてくるが、月穂は固まってしまって、笑顔どころかまだひとことも発することができない。
ようやく重い口を動かし、震える声を出した。
「う、臼田(うすだ)くん。どうして……」
「そのすぐ強張る感じ、全然変わんねえなー。今でもそんななの? まさか、今でも〝りんご〟って呼ばれてたりして」
臼田という男は、月穂の小学校のときの同級生だ。
当時から、今と同じように馴れ馴れしくズケズケとものを言う男だった。
〝りんご〟というあだ名も、臼田が一番初めにつけた。
昔、月穂が自己紹介するときに、緊張のあまり顔を真っ赤にしていたところから命名されたのだ。



