BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー

昼が過ぎ、二時を回った。

次のカウンセリング開始時間は午後三時。それまで論文を読もうとカバンに手を伸ばしたとき、ドアを三回叩く音が室内に響く。
月穂は手を引っ込めて席を立ち、「どうぞ」と答えた。

姿を現した人物を見た瞬間、目を見開く。

「隼さん!」

 まさか彼が、三度もこの部屋を訪れてくれるとは思わなかった。
今朝、夕貴に対して考えたように、忙しいはずの祥真と会える可能性は極めて低いと決めつけていた。

「今、誰かここに来る?」
「いえ、今しがた終わったところで……。これから約一時間フリー枠にしています」
「へえ。俺、毎回タイミングいいな」

 祥真はうっすら笑みを浮かべ、ソファに腰をかける。

今日もまた、単に時間が空いたから時間つぶしにでも来たのだろうか。それともほかに用事でもあるのだろうか、と困惑した眼差しを向ける。

すると、祥真はポケットに入れていた右手をおもむろに伸ばした。
カサッと音を立て、テーブルの上に三つ、飴のような小袋が転がった。

「え……」

 月穂は言葉を失った。テーブルに置かれたものは、自分も同じものを持っている。
いや、正確に言えばそれは月穂のものだ。

「前にうちに来たとき、まき散らしていったやつ。三つ残ってたから」
「こ、これをわざわざ!?」

 テーブルからひと粒のタブレットを拾い上げ、祥真を凝視した。

確かに以前、月穂が祥真の家に立ち寄らせてもらったときに、知らぬ間に置いてきてしまったものだ。

とはいえ、これは大抵の薬局などで売っている健康食品だ。仕事の合間を縫って届けてもらうほどの代物ではない。
実際、三つくらいなくなったところで、月穂は今日まで気づきもしなかった。