BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー

木曜。UAL社に着いた月穂は、否が応でも緊張してしまう。

(夕貴さんと鉢合いませんように)

 逃げるのはずるいと承知だが、ばったりと会ったところで、およそうまく自分の気持ちを伝えることなどできなそうだ。

 月穂の気持ちは決まっている。
 ただ、それを面と向かってうまく伝えられるかというところが不安だった。

 特に夕貴は、告白してきたときも『なんかいいなあと思って』とか『とりあえず』とか、軽いノリで言いくるめてくる。
 月穂はそういう夕貴に頑として自分の考えを返せる自信がなかった。

 しかも、連絡先を受け取っていたのに、今日まで一度も連絡をしていない。時間が経てば経つほど、気まずい思いは大きくなる。

(人の気持ちは聞けても、未だに自分の気持ちを言えないなんて。つくづく私ってこじらせてる)

 自分の欠点はもちろん理解している。だからと言って、克服するのも容易ではない。

「はあ」

 月穂は重いため息を吐いた。

 それから、夕貴と会うことなくカウンセリングルームに辿り着いた。安堵する傍ら、冷静に考える。

 相手は多忙を極めるであろうパイロットなのだから、遭遇する確率のほうが明らかに低いに決まっている。
 自意識過剰も甚だしい、と軽く頭を振って気を取り直し、仕事の準備を始めた。