その後、ふたりは会話という会話もせず、ただ飲み物と店の雰囲気を堪能した。
月穂が店を出ようとしたときに、女性店員と目が合う。
「ありがとうございました」
彼女はオーダーされたラテを準備している最中だった。それを見た月穂は、彼女がさっきのラテを淹れてくれたのだと察した。
先に出ていってしまった祥真を気にしつつ、足を止める。
「あの! ご……ごちそうさまでした」
月穂の声に、女性は一度作業を中断し、にこりとした。
「またどうぞお越しくださいませ」
月穂はぎこちなく会釈をし、店を出た。扉のすぐ前には祥真の広い背中があった。
「お待たせしてすみません」
パソコンが入ったカバンを肩にかけ、月穂はいつでも歩き出せる状態だ。しかし、祥真は月本の言葉に反応もしなければ動きもしない。
「隼さん……?」
なにも言わず、空を仰ぐ祥真に遠慮がちに声をかける。
「まずいな」
「え?」
どうしたのかと首を傾げていると、突然祥真が月穂の腕を握った。
触れられた瞬間、頭の中が真っ白になる。
「来る」
祥真は月穂の腕を掴んだまま、空を見上げたままつぶやく。
月穂が店を出ようとしたときに、女性店員と目が合う。
「ありがとうございました」
彼女はオーダーされたラテを準備している最中だった。それを見た月穂は、彼女がさっきのラテを淹れてくれたのだと察した。
先に出ていってしまった祥真を気にしつつ、足を止める。
「あの! ご……ごちそうさまでした」
月穂の声に、女性は一度作業を中断し、にこりとした。
「またどうぞお越しくださいませ」
月穂はぎこちなく会釈をし、店を出た。扉のすぐ前には祥真の広い背中があった。
「お待たせしてすみません」
パソコンが入ったカバンを肩にかけ、月穂はいつでも歩き出せる状態だ。しかし、祥真は月本の言葉に反応もしなければ動きもしない。
「隼さん……?」
なにも言わず、空を仰ぐ祥真に遠慮がちに声をかける。
「まずいな」
「え?」
どうしたのかと首を傾げていると、突然祥真が月穂の腕を握った。
触れられた瞬間、頭の中が真っ白になる。
「来る」
祥真は月穂の腕を掴んだまま、空を見上げたままつぶやく。



