「え? なんで立ってんの? 座ったら?」
祥真はテーブルから一歩離れたところで固まる月穂に目を丸くする。月穂は肩を窄め、小さく何度も頭を下げた。
「し……失礼します」
全身から緊張が漂う月穂を見て、祥真は顔を横に向け、軽く握った手を口元に添えて肩を揺らす。
「面接じゃないんだから」
可笑しそうに目を細め、声を押し殺す彼の姿に目をぱちくりとさせる。
(あ、笑った)
祥真の笑顔は毎回ドキリとさせられる。
月穂は席に着いたあと、しばらく言葉が出なくなる。
沈黙に内心そわそわしていた。ちらりと祥真を盗み見れば、彼は会話が途切れたことなど気に留めている様子などなく、ただぼんやりと格子の窓から外を眺めていた。
「お待たせいたしました。キリマンジャロとカフェラテです」
そのとき、先ほどの店員がやってきてカップをふたつテーブルに置く。
月穂は自分の前に置かれたカップに、「わあ」と感嘆の声を小さく漏らした。
カップには、リーフと呼ばれる葉の形が浮かび上がっている。左右対称に美しく描かれたラテアートに釘付けだ。
「どうぞ、ごゆっくり」
店員がニコッと笑いかけて立ち去ったあとも、月穂はカップを手に取ろうとしない。
祥真が数回ゆっくりとコーヒーを口に含み、ソーサーに戻してもなお、月穂に変化はなかった。
「どうかした?」
祥真はテーブルから一歩離れたところで固まる月穂に目を丸くする。月穂は肩を窄め、小さく何度も頭を下げた。
「し……失礼します」
全身から緊張が漂う月穂を見て、祥真は顔を横に向け、軽く握った手を口元に添えて肩を揺らす。
「面接じゃないんだから」
可笑しそうに目を細め、声を押し殺す彼の姿に目をぱちくりとさせる。
(あ、笑った)
祥真の笑顔は毎回ドキリとさせられる。
月穂は席に着いたあと、しばらく言葉が出なくなる。
沈黙に内心そわそわしていた。ちらりと祥真を盗み見れば、彼は会話が途切れたことなど気に留めている様子などなく、ただぼんやりと格子の窓から外を眺めていた。
「お待たせいたしました。キリマンジャロとカフェラテです」
そのとき、先ほどの店員がやってきてカップをふたつテーブルに置く。
月穂は自分の前に置かれたカップに、「わあ」と感嘆の声を小さく漏らした。
カップには、リーフと呼ばれる葉の形が浮かび上がっている。左右対称に美しく描かれたラテアートに釘付けだ。
「どうぞ、ごゆっくり」
店員がニコッと笑いかけて立ち去ったあとも、月穂はカップを手に取ろうとしない。
祥真が数回ゆっくりとコーヒーを口に含み、ソーサーに戻してもなお、月穂に変化はなかった。
「どうかした?」



