約二週間後。
月穂は祥真が所属する航空会社UALへと赴き始めた。
花田から初めに聞いていた通り、基本的に週に三回ほど訪問し、残りはいつも通り病院へ通う。
初日はUAL総務本部長と打ち合わせをして終わり、次に訪れた日から、本格的にカウンセリング業務をスタートさせた。
さらに一週間が経ち、月穂がUALで仕事を始めて四日目を迎えた。
その日も就業前に、ポケットから個包装のタブレットをひとつ取り出し、口に入れた。
月穂は緊張しそうなときなど、気分転換にリラックス効果が期待できるギャバタブレットを口にする。月穂にとって、ちょっとした精神的なお守りみたいなものだ。
タブレットをゆっくり食べながら、カウンセリングリストを確認する。一番目に記載されている名前に目が留まった。そのとき、ノックの音と同時に声がする。
「失礼しまーす」
月穂の反応を待たずに、ドアを開けてやってきたのは夕貴だった。
月穂は夕貴の顔を見て一瞬驚いたが、たった今リストで名前を確認していたからすぐに平常心に戻れた。
「こんにちは。どうぞおかけください」
「えっ! 君はこの間の!? なんで!?」
しかし、夕貴のほうは大きく驚いた様子だった。まさか、こんなところで月穂と再会するだなんて思いもしなかったのだろう。
「先週からこちらでカウンセラーをさせていただいてます。よろしくお願いします」
「先週から? まさかこんな偶然があるなんて! すごくない!?」
「……ですね。私も上司から話を聞いたときは驚きました」
月穂は夕貴のもっともな反応に、思わず笑いを零した。すると、今しがた興奮するように話をしていた夕貴が突然黙り、ジッと見つめてくるものだから首を傾げた。
「どうかしましたか?」
きょとんとして尋ねると、夕貴は手を軽く横に振る。
「あ、ううん。大和さんの笑った顔、初めて見たなあって」
「え……」
月穂は祥真が所属する航空会社UALへと赴き始めた。
花田から初めに聞いていた通り、基本的に週に三回ほど訪問し、残りはいつも通り病院へ通う。
初日はUAL総務本部長と打ち合わせをして終わり、次に訪れた日から、本格的にカウンセリング業務をスタートさせた。
さらに一週間が経ち、月穂がUALで仕事を始めて四日目を迎えた。
その日も就業前に、ポケットから個包装のタブレットをひとつ取り出し、口に入れた。
月穂は緊張しそうなときなど、気分転換にリラックス効果が期待できるギャバタブレットを口にする。月穂にとって、ちょっとした精神的なお守りみたいなものだ。
タブレットをゆっくり食べながら、カウンセリングリストを確認する。一番目に記載されている名前に目が留まった。そのとき、ノックの音と同時に声がする。
「失礼しまーす」
月穂の反応を待たずに、ドアを開けてやってきたのは夕貴だった。
月穂は夕貴の顔を見て一瞬驚いたが、たった今リストで名前を確認していたからすぐに平常心に戻れた。
「こんにちは。どうぞおかけください」
「えっ! 君はこの間の!? なんで!?」
しかし、夕貴のほうは大きく驚いた様子だった。まさか、こんなところで月穂と再会するだなんて思いもしなかったのだろう。
「先週からこちらでカウンセラーをさせていただいてます。よろしくお願いします」
「先週から? まさかこんな偶然があるなんて! すごくない!?」
「……ですね。私も上司から話を聞いたときは驚きました」
月穂は夕貴のもっともな反応に、思わず笑いを零した。すると、今しがた興奮するように話をしていた夕貴が突然黙り、ジッと見つめてくるものだから首を傾げた。
「どうかしましたか?」
きょとんとして尋ねると、夕貴は手を軽く横に振る。
「あ、ううん。大和さんの笑った顔、初めて見たなあって」
「え……」



