クライエントの相談などは当然守秘義務がある。だが、現段階で同職場の相手に行き先を告げるくらいならば問題はないと判断した。
月穂の言葉を聞くなり、乃々は大きな黒目を大きくして声を上げた。
「ええ!! じゃあ、隼さんがいるところ!?」
予想を上回る大きな反応に、思わず固まってしまう。
月穂は数秒静止していたけれども、ここで冷静に対応しなければと我に返った。
「そうなりますね」
乃々に羨望と嫉妬が入り混じった目で顔を覗き込まれ、月穂は表情が強張る。
「羨ましい~! 私、隼さんのこと気になってるんですよね。でも、連絡先交換するタイミングなくって。あ! 大和さん、もし彼と会えたら連絡先聞いておいてもらえません?」
やはり彼女は祥真に興味を抱いていると確信し、気まずくなる。
ひと月前に彼と出会っていることを言い出せていない。そうかといって、今このタイミングで説明するのも難しい。
月穂は複雑な思いを抱えつつ、笑顔を作った。
「いや……そういうことはちょっと。業務中に私用でクライアントの個人情報を聞くのはできませんね」
「そうですかあ……わかりました」
月穂は乃々が肩を落とし、自分の持ち場へ去っていくのを黙って見送った。
月穂の言葉を聞くなり、乃々は大きな黒目を大きくして声を上げた。
「ええ!! じゃあ、隼さんがいるところ!?」
予想を上回る大きな反応に、思わず固まってしまう。
月穂は数秒静止していたけれども、ここで冷静に対応しなければと我に返った。
「そうなりますね」
乃々に羨望と嫉妬が入り混じった目で顔を覗き込まれ、月穂は表情が強張る。
「羨ましい~! 私、隼さんのこと気になってるんですよね。でも、連絡先交換するタイミングなくって。あ! 大和さん、もし彼と会えたら連絡先聞いておいてもらえません?」
やはり彼女は祥真に興味を抱いていると確信し、気まずくなる。
ひと月前に彼と出会っていることを言い出せていない。そうかといって、今このタイミングで説明するのも難しい。
月穂は複雑な思いを抱えつつ、笑顔を作った。
「いや……そういうことはちょっと。業務中に私用でクライアントの個人情報を聞くのはできませんね」
「そうですかあ……わかりました」
月穂は乃々が肩を落とし、自分の持ち場へ去っていくのを黙って見送った。



