『大和さん? 聞こえてる?』
電話で彼の声を聞くのは初めてのこと。
直接会って聞く声よりも、少しだけハキハキとした口調に感じる。
だけど、このしっとりとした意識を惹き込む声は、間違いなく祥真のものだとわかる。
祥真が電話をくれた。
それは月穂に色々な感情を湧かせる。
ずっと待ち焦がれていた彼からの着信に喜ぶ気持ちと、なぜこのタイミングで電話をしてくれたのか、と戸惑う。
それよりもなによりも、窮地に追い込まれた状況で祥真の声を聞いたおかげで、指先に血が通い、安堵で涙が零れ落ちそうになる。
どれひとつ、気持ちを言葉にできずにいると、祥真は心配したのか、焦ったように声を上げた。
『月穂!』
「は、はい……!」
いきなり下の名前を呼ばれ、さっきまでの恐怖を伴う動悸とは違う鼓動が身体中を駆け巡る。
『どうしたんだ? ちゃんと話せるか?』
「あの……い、今、エレベーターに閉じ込められてて……」
『閉じ込められてる!? どこの!?』
「……隼さんのマンションです」
祥真の力に引っ張られ、月穂はどうにか答えることができた。
一方的に祥真のマンションへ押しかけてきていると聞いて、彼がどういう反応するか怖かった。
携帯を握る手に力を込め、眉根をグッと寄せる。
祥真の反応を息を顰めるように怖々と待った。
『わかった。もう少し待ってろ。もう着くから。一旦電話を切って、俺のほうからマンションの管理担当に連絡を……』
祥真は冷静に判断を下し、的確な行動を取ろうとしたのだが、急に声を途切らせる。
電話で彼の声を聞くのは初めてのこと。
直接会って聞く声よりも、少しだけハキハキとした口調に感じる。
だけど、このしっとりとした意識を惹き込む声は、間違いなく祥真のものだとわかる。
祥真が電話をくれた。
それは月穂に色々な感情を湧かせる。
ずっと待ち焦がれていた彼からの着信に喜ぶ気持ちと、なぜこのタイミングで電話をしてくれたのか、と戸惑う。
それよりもなによりも、窮地に追い込まれた状況で祥真の声を聞いたおかげで、指先に血が通い、安堵で涙が零れ落ちそうになる。
どれひとつ、気持ちを言葉にできずにいると、祥真は心配したのか、焦ったように声を上げた。
『月穂!』
「は、はい……!」
いきなり下の名前を呼ばれ、さっきまでの恐怖を伴う動悸とは違う鼓動が身体中を駆け巡る。
『どうしたんだ? ちゃんと話せるか?』
「あの……い、今、エレベーターに閉じ込められてて……」
『閉じ込められてる!? どこの!?』
「……隼さんのマンションです」
祥真の力に引っ張られ、月穂はどうにか答えることができた。
一方的に祥真のマンションへ押しかけてきていると聞いて、彼がどういう反応するか怖かった。
携帯を握る手に力を込め、眉根をグッと寄せる。
祥真の反応を息を顰めるように怖々と待った。
『わかった。もう少し待ってろ。もう着くから。一旦電話を切って、俺のほうからマンションの管理担当に連絡を……』
祥真は冷静に判断を下し、的確な行動を取ろうとしたのだが、急に声を途切らせる。



