BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー

思いもしない事実と謝罪に、驚いて固まる。
 夕貴は祥真の顔色を窺い、気まずそうに尋ねる。

「俺のこと一発殴るか?」

 軽く自分の頬を叩く夕貴をジッと見て、祥真は「ふ」と笑った。

「いや、いい」
「遠慮するなよ」

 夕貴からすれば、我に返った今、一発殴られたほうがすっきりするのかもしれない。
 祥真はそうも考えたのだが、夕貴を今一度見て、やはり首を横に振った。

「だって、もう殴られたあとみたいにボロボロな表情してるよ、お前」

 祥真の気遣いに、夕貴は苦笑するしかなかった。

「……あーあ。これは男の俺でも惚れるよ」
「はあ? それも断るからな」

 迷惑そうに返すや否や、夕貴に強引に背中を押される。

「早く行け! 大和さんから、さっきお前を心配して連絡がきて。俺、もうすぐ祥真は帰るだろうって言っちゃったんだ。彼女、怪我してるけど、きっとお前のところに行ってる」
「怪我!?」
「いいから、早く!」

 祥真は急かされるままに、急いで準備をしてオフィスを出て、タクシーに乗り込んだ。