月穂がエレベーターに閉じ込められる、数十分前。
祥真が廊下を移動していると、たまたまブリーフィングを終えて部屋から出てきた夕貴と遭遇した。
視線がぶつかるなり、夕貴に胸ぐらを掴まれる。
「わっ」
「お前っ。まだこんなところにいたのか!」
突然絡まれた祥真は、吃驚して目を剥いた。
しかし、構うことなく夕貴は祥真の制服を両手で握っている。
「もうお前の仕事は済んだんだろ!?」
「ああ。でもその後の機体の具合も気になって……」
「出火もエンジンの一部だけでとどまったし、ひとまず大丈夫だってみんな言っていただろ!デブリーフィングももとっくに終わってるのに!」
顔を見た瞬間からすごい剣幕で捲し立てられ、祥真は眉を顰めた。
「なんだよ。ずいぶん気性荒いな。まだなんか俺に言いたいことでもあるのか」
夕貴とは、金曜日の電話以来初めて顔を合わせる。
なんとなく、あの日の続きでもあるのかと思い、ややケンカ腰に言い返した。
すると、夕貴はスッと手を離し、俯く。
「俺は祥真のことを、コクピットからの景色と同じように思っていたよ」
「は?」
夕貴が打って変わってしおらしい態度になって、祥真は戸惑う。
祥真が廊下を移動していると、たまたまブリーフィングを終えて部屋から出てきた夕貴と遭遇した。
視線がぶつかるなり、夕貴に胸ぐらを掴まれる。
「わっ」
「お前っ。まだこんなところにいたのか!」
突然絡まれた祥真は、吃驚して目を剥いた。
しかし、構うことなく夕貴は祥真の制服を両手で握っている。
「もうお前の仕事は済んだんだろ!?」
「ああ。でもその後の機体の具合も気になって……」
「出火もエンジンの一部だけでとどまったし、ひとまず大丈夫だってみんな言っていただろ!デブリーフィングももとっくに終わってるのに!」
顔を見た瞬間からすごい剣幕で捲し立てられ、祥真は眉を顰めた。
「なんだよ。ずいぶん気性荒いな。まだなんか俺に言いたいことでもあるのか」
夕貴とは、金曜日の電話以来初めて顔を合わせる。
なんとなく、あの日の続きでもあるのかと思い、ややケンカ腰に言い返した。
すると、夕貴はスッと手を離し、俯く。
「俺は祥真のことを、コクピットからの景色と同じように思っていたよ」
「は?」
夕貴が打って変わってしおらしい態度になって、祥真は戸惑う。



