「わー。やっぱりそうなんですねー。カッコいいですもんね! 夕貴さんは?」
乃々はふたりの返答を軽く受け流し、次に夕貴へ話題を振った。
「気づいたら……って感じかな」
「へえ。そういう感じでなることもあるんですね! 祥真さんは? 昔からの夢だったんですかあ?」
乃々は祥真に対しては、これまで以上の猫なで声で問いかける。しかし、祥真は夕貴のように考える素振りも見せず、乃々を一瞥し、「さあな」とひとこと返すだけ。
それ以降、乃々やほかの女子が視線を送っていても、目すら合わない。
その様子を、向かいの月穂も黙って見ていた。
乃々が祥真の興味を引けていないことは、だれの目から見ても明らかだ。
さすがに乃々も、このまま強引にこの話を続けるのはマイナス印象にでもなりかねないと考えたのか、話題を変える。
「パイロットの方って、健康管理が大変だって伺いました。お休みはちゃんとあるんですか? なんだか激務そう」
「いや。休みはむしろ多いほうだと思うよ。きっと、須田さんのような看護師のほうが激務だと思う」
「えー。そうなんですかあ?」
乃々は夕貴の回答をきっかけに全員の注目を浴び、まんざらでもない様子だ。
「あ、じゃあ休みの日って、なにしているんですかー?」
「まあ、俺は家にいるときはジム行ったりしてるかな。でも、国際線だと、次の日はそっちで休みになるから、正直あまり休んだ気はしないんだよね」
得意気に即答する金田にも、上機嫌な乃々は『うんうん』と頷き真剣に話を聞いている。
「へえ! じゃあ国際線だと、海外で二泊するっていうことですか? やっぱりすぐ往復はきついですもんね」
「そうそう。だから、半分も自分の家にいないよな?」
「そうですね。日本にいても、フライト先でオフってこともありますし」
金田と谷川が言うと、女性たちは「すごーい」と手を合わせ、キラキラとした眼差しを向ける。
しかし、月穂は冷静に納得していた。
(ということは、一か月前のあのとき、きっと彼はフライト明けでロサンゼルスに宿泊していたんだ)
乃々はふたりの返答を軽く受け流し、次に夕貴へ話題を振った。
「気づいたら……って感じかな」
「へえ。そういう感じでなることもあるんですね! 祥真さんは? 昔からの夢だったんですかあ?」
乃々は祥真に対しては、これまで以上の猫なで声で問いかける。しかし、祥真は夕貴のように考える素振りも見せず、乃々を一瞥し、「さあな」とひとこと返すだけ。
それ以降、乃々やほかの女子が視線を送っていても、目すら合わない。
その様子を、向かいの月穂も黙って見ていた。
乃々が祥真の興味を引けていないことは、だれの目から見ても明らかだ。
さすがに乃々も、このまま強引にこの話を続けるのはマイナス印象にでもなりかねないと考えたのか、話題を変える。
「パイロットの方って、健康管理が大変だって伺いました。お休みはちゃんとあるんですか? なんだか激務そう」
「いや。休みはむしろ多いほうだと思うよ。きっと、須田さんのような看護師のほうが激務だと思う」
「えー。そうなんですかあ?」
乃々は夕貴の回答をきっかけに全員の注目を浴び、まんざらでもない様子だ。
「あ、じゃあ休みの日って、なにしているんですかー?」
「まあ、俺は家にいるときはジム行ったりしてるかな。でも、国際線だと、次の日はそっちで休みになるから、正直あまり休んだ気はしないんだよね」
得意気に即答する金田にも、上機嫌な乃々は『うんうん』と頷き真剣に話を聞いている。
「へえ! じゃあ国際線だと、海外で二泊するっていうことですか? やっぱりすぐ往復はきついですもんね」
「そうそう。だから、半分も自分の家にいないよな?」
「そうですね。日本にいても、フライト先でオフってこともありますし」
金田と谷川が言うと、女性たちは「すごーい」と手を合わせ、キラキラとした眼差しを向ける。
しかし、月穂は冷静に納得していた。
(ということは、一か月前のあのとき、きっと彼はフライト明けでロサンゼルスに宿泊していたんだ)



