BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー

ストレートに核心を突かれ、月穂はどぎまぎとするだけですぐになにも返せない。

 夕貴は月穂の反応に確信を持ち、さらに言う。

「俺よりも先に祥真と出会っていたから? ロスで助けたのが祥真じゃなくて俺だったとしても、答えは変わらない?」

 泰然とした態度で月穂を正面から見つめた。

「なんていうかさ。そういういつもとは違う場所での出来事って、それだけで美化されたり、印象強くなるんじゃないかなあって」

 夕貴の言いたいことはわかる。

 月穂自身、祥真に対して抱いた感情は、そう言うものだと思っていた。

 初の海外という環境で助けてもらったから、彼が気になるのだ、と。ただそれだけであって、純粋な恋愛感情とは違うはずだ、と。

 でも、違っていた。
 いや。再会さえしなければそうだったかもしれないが、彼と日本で再び出会い、言葉を交わし、ほんのわずかだけれど、時間を共有して、本当に彼に惹かれてしまった。

 好きになってしまった。
 この感情の経緯を、うまく夕貴に説明できるかどうか自信がない。

 そんなとき、ふと祥真の声が月穂の頭の中に響く。

 ――『君はちゃんと強くなってるよ』