十分もしないうちに、暗がりの中から駆けてくる足音が聞こえてくる。
駐車場を照らす街灯の元に、夕貴の姿を確認した。
夕貴も月穂を見つけたようで、さらに速度を上げて駆け寄ってくる。
「大和さん! 大丈夫? どうしてこんな……」
小一時間前に会ったときにはなんともなかったのに、今やギプスと松葉づえという出で立ちに目を大きくして驚くのは至極普通のことだろう。
今、『急いでいて』などと言えば、夕貴が自分のせいだと言って気にするに違いない。
月穂は慎重に言葉を選んだ。
「ええと、ボーッとしてて。階段を踏み外してしまって」
もちろん、乃々とのことは言えない。
結局花田と同じように、自分のせいということにして答えた。
「痛みは?」
「あ、大丈夫です。さっきドクターが痛み止めを注射してくれたので」
怪我の理由から話が逸れ、月穂はホッとして笑顔をみせる。
「そっか。じゃあ、今日はもう帰ったほうがいいね。送っていくよ」
「えっ」
「当然でしょ。このまま放っておけるわけない」
夕貴の申し出はありがたいのだが、家まで送ってもらうことにでもなれば、ますます祥真の元へ行くのに時間がかかってしまう。
月穂はこんな状況になってもなお、祥真との約束を諦めきれずにいた。
「あ……でも、私ちょっと寄りたいところもあったので」
「どこ? 付き合うよ。けど、もうこんな時間だし、そもそも足も無理しちゃだめなんじゃない? 今日は大人しく帰ったほうがいいと思うけど」
夕貴に諭され、口を噤んだ。
駐車場を照らす街灯の元に、夕貴の姿を確認した。
夕貴も月穂を見つけたようで、さらに速度を上げて駆け寄ってくる。
「大和さん! 大丈夫? どうしてこんな……」
小一時間前に会ったときにはなんともなかったのに、今やギプスと松葉づえという出で立ちに目を大きくして驚くのは至極普通のことだろう。
今、『急いでいて』などと言えば、夕貴が自分のせいだと言って気にするに違いない。
月穂は慎重に言葉を選んだ。
「ええと、ボーッとしてて。階段を踏み外してしまって」
もちろん、乃々とのことは言えない。
結局花田と同じように、自分のせいということにして答えた。
「痛みは?」
「あ、大丈夫です。さっきドクターが痛み止めを注射してくれたので」
怪我の理由から話が逸れ、月穂はホッとして笑顔をみせる。
「そっか。じゃあ、今日はもう帰ったほうがいいね。送っていくよ」
「えっ」
「当然でしょ。このまま放っておけるわけない」
夕貴の申し出はありがたいのだが、家まで送ってもらうことにでもなれば、ますます祥真の元へ行くのに時間がかかってしまう。
月穂はこんな状況になってもなお、祥真との約束を諦めきれずにいた。
「あ……でも、私ちょっと寄りたいところもあったので」
「どこ? 付き合うよ。けど、もうこんな時間だし、そもそも足も無理しちゃだめなんじゃない? 今日は大人しく帰ったほうがいいと思うけど」
夕貴に諭され、口を噤んだ。



