少しして、慣れない松葉杖を使い、夜間出入り口から外に出た。
そこでようやく夕貴に電話をする。二コール目を聞く直前に繋がった。
「もしもし、大和です。遅くなってすみません」
月穂は電話だというのに、ぺこぺこと頭を下げながら謝る。
『俺は大丈夫だよ。でも、届け物って言ったわりには時間がかかっていたから、なんかあったのかとちょっと心配してた』
夕貴は安堵した声で笑った。
彼は本当に人への気遣いを欠かさない人間なのだな、と思ったのと同時に、怪我をしたことが言いづらかった。
そんなことを言えば、過剰に心配するのだろうとわかったからだ。
けれど、右足にギブスをして松葉づえまで持っていたら、隠し通せるはずがない。
月穂はごにょごにょと歯切れ悪く言った。
「実は……ちょっと足を怪我してしまいまして」
『え!? 怪我!? 今? どうしたの!?』
すると、夕貴から想像以上の反応が返ってきて、ますます恐縮してしまう。
「あの、ちょっと……足にヒビが」
『ヒビ!? それじゃあ、歩くの大変じゃん! ちょっと待ってて、すぐ行くから! 今どこ?』
耳元で大きな声が聞こえ、咄嗟に片目を瞑り、肩を竦める。
月穂は夕貴とは反対に、小声で答えた。
「今、夜間玄関を出たところで……」
『わかった。そのままそこにいて』
有無を言わせぬ勢いで言って、一方的に通話を切られた。
月穂は携帯のディスプレイに浮かぶ【通話終了】という文字にため息を落とした。
そこでようやく夕貴に電話をする。二コール目を聞く直前に繋がった。
「もしもし、大和です。遅くなってすみません」
月穂は電話だというのに、ぺこぺこと頭を下げながら謝る。
『俺は大丈夫だよ。でも、届け物って言ったわりには時間がかかっていたから、なんかあったのかとちょっと心配してた』
夕貴は安堵した声で笑った。
彼は本当に人への気遣いを欠かさない人間なのだな、と思ったのと同時に、怪我をしたことが言いづらかった。
そんなことを言えば、過剰に心配するのだろうとわかったからだ。
けれど、右足にギブスをして松葉づえまで持っていたら、隠し通せるはずがない。
月穂はごにょごにょと歯切れ悪く言った。
「実は……ちょっと足を怪我してしまいまして」
『え!? 怪我!? 今? どうしたの!?』
すると、夕貴から想像以上の反応が返ってきて、ますます恐縮してしまう。
「あの、ちょっと……足にヒビが」
『ヒビ!? それじゃあ、歩くの大変じゃん! ちょっと待ってて、すぐ行くから! 今どこ?』
耳元で大きな声が聞こえ、咄嗟に片目を瞑り、肩を竦める。
月穂は夕貴とは反対に、小声で答えた。
「今、夜間玄関を出たところで……」
『わかった。そのままそこにいて』
有無を言わせぬ勢いで言って、一方的に通話を切られた。
月穂は携帯のディスプレイに浮かぶ【通話終了】という文字にため息を落とした。



