朝起きたら、頬が涙でぬれていた。
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「おはよう」
制服に着替えて階下におりると、既に身支度を整えた家族がリビングに集まっていた。
「おはよう、美紗」
キッチンで忙しなく動くお母さんは、専業主婦。
新聞を読みながらコーヒーをすするお父さんは、会社員。
お父さんのお弁当を包んでいるお姉ちゃんは、大学生。
みんなの側をちょこちょこ走り回っているのが、愛犬の"マロ"。
いつもと変わらない光景。
「今日は午後から雪が降るかもしれないから、傘忘れないようにね。それから予備のタオルと靴下も」
「うん、ありがとう」
お姉ちゃんの忠告に、あたしはうなずいた。
雪予報は昨日から出ていた。
折り畳み傘は鞄にもう入れてある。