馬鹿にするような言い方をする椎先輩に「だって本当にすごいじゃないですか!」と私は抗議する。


「確かにね」


先輩はユズ先輩達を見つめた。

先輩達選手はこんなにも寒いのに汗を掻いていて、タオルで拭きながら飲み物を飲んでいる。

それを見ているとなんだか私まで飲み物が欲しくなってきてしまった。


「ちょっと飲み物買ってきます。先輩は何かいりませんか?」

「俺は、そうだな、暖かいの」

「了解です」


「後で払うね」と先輩は言う。


「これくらいさせてください」

先輩にはたくさんのものをもらっているんですから。

そう思って笑って流した。


体育館の下にある自販機で飲み物を買おうとしていると、後ろに人影を感じた。


「ねえ、あんた」


はっと振り返ると、そこには私と同じ学校の制服を着た女子が数人仁王立ちをしていた。

その女子達はほとんど面識がない。誰だろう、もしかしたら先輩かもしれない。


「ちょっと、顔貸しな」


有無をいわさないその圧力に耐えられず、試合がもうすぐ再開されると分かっているのに、私はこの女子達についていった。