放課後、先輩の言っていた西階段下を目指して歩く。
12月の外気は身を凍らしてしまうほどに冷たい。ふと空を見上げると分厚い灰色の雲が空いっぱいに広がっていてなんだか不気味だった。もう少ししたら雪が降るかもしれない。
首元にまいた薄桃色のマフラーで鼻まで隠しながら急ぐ。
寒さのあまり足元にばかり目をやっていたけれど、ふと何かが落ちてきたような気がして顔を上げた。
はらり、はらり。
音もなく舞い下りるそれは、まるで天使の羽のようだ。
「牡丹雪」
手のひらを差し出すとふっと手の中に舞い降りて、すぐに消えた。簡単にその白さを失って、透明になる。
それは儚くて美しくて、それなのに胸がぎゅっと痛くなる。
どうしてこんな思いをするのだろう。
どうしてこんなに痛くなるんだろう。
どうして?
するとその時声が聞こえた。
「ほんとに来た」
ぱっと顔をあげて辺りを見渡すと、不機嫌そうな顔をした椎先輩がこちらを見ていた。
「そこ、どいてくれる?この鉢植え、そこに移したいんだけど」
「す、すみません!」
慌てて離れると、先輩は溜め息を吐いて抱えていた鉢植えを置いた。
そこには色とりどりの花が植えられていて、思わず声をあげてしまった。
「すごく綺麗!」
12月の外気は身を凍らしてしまうほどに冷たい。ふと空を見上げると分厚い灰色の雲が空いっぱいに広がっていてなんだか不気味だった。もう少ししたら雪が降るかもしれない。
首元にまいた薄桃色のマフラーで鼻まで隠しながら急ぐ。
寒さのあまり足元にばかり目をやっていたけれど、ふと何かが落ちてきたような気がして顔を上げた。
はらり、はらり。
音もなく舞い下りるそれは、まるで天使の羽のようだ。
「牡丹雪」
手のひらを差し出すとふっと手の中に舞い降りて、すぐに消えた。簡単にその白さを失って、透明になる。
それは儚くて美しくて、それなのに胸がぎゅっと痛くなる。
どうしてこんな思いをするのだろう。
どうしてこんなに痛くなるんだろう。
どうして?
するとその時声が聞こえた。
「ほんとに来た」
ぱっと顔をあげて辺りを見渡すと、不機嫌そうな顔をした椎先輩がこちらを見ていた。
「そこ、どいてくれる?この鉢植え、そこに移したいんだけど」
「す、すみません!」
慌てて離れると、先輩は溜め息を吐いて抱えていた鉢植えを置いた。
そこには色とりどりの花が植えられていて、思わず声をあげてしまった。
「すごく綺麗!」


