君が好きなんて一生言わない。

責め立てるようなヒステリックなこの声が、私を憎むこの瞳が、まるで金縛りのように私の体を縛り付けて身動きを封じる。

私を責め立てるような言葉を投げかける人を前にすると何も言えなくなってしまうのは、きっとこの人のせいなんだと思う。

早く終われと願う間もおばさんのヒステリーは止まらない。この世のあらゆる罵詈雑言を私に投げつけていく。


「あんたが兄さんの子どもじゃなかったら、絶対に引き取りなんてしなかったわ!あの性悪女の娘なんて顔もみたくない!あんたなんていなければよかったのに!」


そして極めつけの言葉を放った。





「この死神が!」




極めつけの言葉を言って満足したのか、荒くなった息を整えるとおばさんは穏やかな顔でまたテレビを見始めた。

となりのおじさんはちらちと私を恨めしく見つめると、まるでここに私が存在していないかのように振る舞い始める。

私は心が壊れてしまわないように、ゆっくりキッチンに進むと水を飲み干した。

冷たい水が喉を流れていくたびに、ああまだ私は生きているのだと実感する。


「…大丈夫、大丈夫」


生きてるから大丈夫だと、笑顔を作って自分にそう言い聞かせる。

心を壊さないために編み出した、私なりの逃げ道。


それから私はまたリビングを通って自室に戻ったけど、おばさん達はもうそれぞれ部屋に戻られたようでリビングはしんと静まりかえっていた。

私はそれに胸を撫で下ろす。