君が好きなんて一生言わない。

茜差す帰り道を先輩と歩きながら、私の心は落ち着かなかった。


「先輩、本当に良かったんですか?」

「何が?」

「私を送るなんてことして」

「別に」


先輩は相変わらずまっすぐ前だけを見据えていた。


「俺、彼女いないし。何の問題もないでしょ」


どこが!

問題だらけだよ、こんなの。

あの椎先輩と一緒にかえったなんて他の人にバレたらどうしよう。

誰かに見られたりしたら…他の女子から血祭りにあげられるかもしれない。


本当に。


「なんで、先輩は彼女を作らないんですか?先輩ならフラれるんてことはないはずなのに」


純粋な疑問だった。

どんなに可愛い人でも、きれいな人でも、告白した人みんなが玉砕。

あれだけモテているというのに彼女がいるなんて話は一度も聞いたことがない。


「なんで…って言われてもね」


先輩は溜息を吐いた。



「好きなひと、いないんですか?」



すると先輩は「そーいう麗ちゃんは?」と聞いた。



「麗ちゃんは好きなひといないの?」


私は「いないですよ」と首を横に振った。