君が好きなんて一生言わない。

「大変だったね」という同情でもなくて、「こうしたらいいよ」なんてアドバイスでもなくて。

ただ、受け止めてもらえた、そんな気がした。



「ありがとうございます」


それは何より暖かくて、私は思わず涙が溢れそうになってうつむいた。

けどそれを忘れるように「そうだ、これから何をしたらいいですか?」と笑って見せた。

すると先輩は、「今日の活動も大体終わったし、これで終わろうかな」と言った。


それから私の顔を見て、遠慮がちに尋ねる。



「遅い時間に女の子が一人っていうのは心配だから、家まで送らせて」


私は目を見開いて、それから「いや、大丈夫ですよ!」と首を横に振った。


「でも、心配は心配」

「大丈夫ですってば!ほら!私、か弱くないですし!」


思わず守ってあげたくなるような、そんな可愛い女の子からは程遠いって自覚はある。

両腕を曲げて力こぶを作るような仕草をしてみせると、先輩はふっと笑って「説得力がないよ」と言った。

私は目を見開いた。


…笑った。

あの椎先輩が、笑った!

クールで笑わないと有名な椎先輩が笑ったなんて、これはとっても貴重だ。ああ、写真に収めたかった。


「か弱くても、か弱くなくても、麗ちゃんは女の子でしょ。送らせて」


そんなことを言われてしまったら断るに断れなくて、私は「じゃあ、近くまで」と渋々頷いた。