君が好きなんて一生言わない。

「麗ちゃん?」


椎先輩に呼ばれてそのことに気づいたくらいに、自然に言葉に出ていた。


「あ、いや、いいなあって思ったんです。

お互いを大切に思っている関係。幼馴染みって。

私には、いないから」


私には先輩のように幼馴染みはいない。

幼馴染みどころか友達だって少ない。

少ないどころか友達なんて紗由くらいで、それも親友なんて私が呼んでしまっていいのかも分からない。

心にぽっかり穴が空いたような感覚がずっとしていて、人とうまく関われなかった。

紗由以外のクラスメイトとは話せない。いじめもあるし、紗由にも迷惑かけたくないし。

だから当然どこかに遊びに行こうだなんて話にはならない。

紗由がいてくれるから1人じゃないのに、ひとりぼっち。


なんでか分かんないのに心に穴が空いている感覚がする。


どうしてだろう。

いくら考えても、分からなくて。

でもどうすることもできなくて。


相談するにしても、その相手だっていないから。


そこまで考えて、私ははっと気づいた。


「すいません、こんなこと。先輩には関係ないですよね!」


私は笑って何とか誤魔化そうとした。

私の友だち関係なんて、椎先輩には全くもって関係のないことだ。


すると先輩は「いいよ、別に」と静かに言った。


「無理しなくていいよ」