『ぼくが麗ちゃんのことを守るよ』


『ずっとそばにいる』


『やくそくだよ』


___あなたは一体どれほどの涙を流してきたのだろう。


小さい頃に交わした約束を守れないと傷ついて、こんなどうしようもない私なんかのために自分の人生を捨てて。


もっと自由に輝けるような、そんな未来がきっと待っていたのに、


どうしてあなたは陰を歩くような日々を選んでしまったの?






あれから一日経って、失っていた記憶も思い出した。

お父さんが過労死で亡くなったのことも、親戚中に嫌われていたお母さんが病に倒れたことも、両親を亡くした私とおばあちゃんが暮らすようになった経緯も、大切な椎先輩が幼馴染みだということも。

正直戸惑って、だけど今まで美紅ちゃんやおばさんから「死神」と罵倒され続けていた理由も分かって、なんだか今まで全てのことが自然と腑に落ちた。


でも、心に強くのしかかるのはそのことではない。


「言えなかった…」


先輩に言えなかった。

振り絞った勇気は曖昧なまま空中分解してしまった。

けれど、違う。あの時私は言えなかったんじゃない。


言わせてくれなかった。