君が好きなんて一生言わない。

帰り道、ユズ先輩はしゃべり続けていた。

バスケ部でのことや、クラスでのこと。とにかくたくさん話してくれた。

話し続けるユズ先輩に時々椎先輩が突っ込みをいれるけれど、私はほとんど何もしゃべれなかった。

ユズ先輩が話し続けているうちに分かれ道にたどり着いて、ユズ先輩は「家、こっちだから」と手を振って去っていった。

いつか椎先輩が話してくれたみたいに、ユズ先輩はまるで嵐みたいな人だ。


ユズ先輩が去ってしまった後、取り残された私達の頭上には重たい沈黙が鎮座していた。

息をするのも苦しいくらいで、この場から逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。

すると椎先輩が言った。


「今日も来てくれなかったね」


たったそれだけの言葉で、椎先輩が何を言わんとしているのかすぐに分かった。

つめたい空気みたいに、言葉が刺さる。


「ちょっと、用事があって」

「ふうん」


「そっか」なんて先輩は頷いたけど、本当に納得してくれているかどうかは分からなかった。

だけど、そもそも私たちはお昼に空き教室で一緒にご飯を食べるなんて約束は一度もしたことがない。

だからどこで昼休みを過ごそうとそれは互いの自由だ。

なのに、どうして私が悪いみたいになっているんだろう。



「先輩は今日は部活ないんですか?」


話を変えるように話題を振ると、先輩は頷いた。