彼女が出ていったのを確認すると、玲也は耐えきれずカウンターの裏側に座り込んだ。 (あー…ヤバい) 心臓がドクドクと激しく鳴り続ける。 「玲也、お疲れー。レジ交代…っておい、どうした!?」 バイト仲間の近藤篤(こんどうあつし)が座り込んでいる玲也を見て、ギョッとして声を上げた。 「篤…どうしよ、俺…」 「お前、顔、真っ赤だぞ?」 「…うるさい」 「はあ?」 篤はしばらく怪訝な表情を浮かべていたが、ため息をつくと「休憩してろ」とだけ言って玲也の肩をポンと叩いた。