「補佐!補佐!」

「んー?どうした?」

「コーヒー、です!」

「おー…さんきゅ。…で?そのちっちゃい手で持ってる箱は?」

「え、っと……」

いざとなると口が重たくなる。
視線を忙しくあちこちに回していると、くすりと笑われて、

「お前の愛の塊…か?」

と髪を撫でられた。

「!?」

「好きって言ってみ?」

「うう…す…」

「す…?」

「す、す、す…」

「くくくくっ…す、が…なぁーに?」

「むぅ…すっ!すき焼き食べたい!」

本当の気持ちを言えずに、思い切り自爆。
その思いがけない言葉に、少々驚いた顔をして見せた彼はツボったように笑ってから、私の髪をわしゃわしゃ撫でて、

「よし!メシ、決定な?」

と悪戯っぽくウィンクしてきた。

いつか、自分から言える日が来るのかな?
ちゃんと言えるかな?
どきどき、どきどき。
気持ちは止まらない。

そんな素直になれない仔猫と、溺愛エンペラーの間が、ぎゅっと近くなるのはまだまだ先の事…。

Fin.