「そりゃあ、里菜に比べたらあたしの方が可愛いよ」


その言葉にチクリと胸が痛んだ。


でもなにも言えない。


美穂は何も言っていないのだから。


ただあたしが聞こえただけ。


クラスへ入った瞬間、みんなの言葉が波のように押し寄せてきてあたしは立ち止まった。


「昨日体重計ったらちょっと痩せてたんだぁ」


「へぇよかったね(嘘ばっかりデブのくせに)」


「でもまだまだダイエットぉ(あたしより、あんたの方がデブだけどね)」


「ごめん、これ借りてた漫画」


「あぁ。あたしも忘れてたから大丈夫だよ(返すのおっせーんだよバーカ)」


「昨日の課題見せてくれよ」


「仕方ねぇなぁ(めんどくせぇヤツだな)」