「なんでもないよ。どうしたの?」


「明日休みじゃん? 遊びに行かない?」


美穂の誘いに自然と笑顔が浮かぶ。


数日前雑誌で見たお店に行きたいと思っていたところだったんだ。


「そうだね、あたし生きた場所が――」


そこまで言った時だった。


「なんで里菜なんて誘ってんの?」


そんな声が聞こえてきてあたしは言葉を切った。


今の……誰?


顔から笑顔が消えて行く。


クラスメートたちを見回す。


誰もあたしのことなんて見ていない。