「お客様ですか?」


にこやかな笑顔でそう聞かれて、あたしは慌てて体勢を立て直した。


「あ、あの……、ここって眼鏡屋ですか?」


「そうですよ。新しい眼鏡をお探しですか?」


「はい」


あたしは小さく頷いた。


こんなにカッコいい人相手だと、しゃべるのも気を使ってしまう。


「どうぞ、中に入ってごゆっくりとご覧ください」


男性に促されて、あたしは小さな眼鏡屋へと足を踏み入れたのだった。