夏生の声が震えている。


泣くのを我慢しているように感じられた。


フサエさんが夏生の頭を優しくなでた。


「そうだね。みんなもそうだった。本当に優しかった」


だけどフサエさんは今でも眼鏡を見ると怯えているのだ。


きっと、眼鏡を手に入れて知った現実はとてもつらいものだったんだろう。


夏生を抱きしめるフサエさんを見て、あたしはそっと部屋をでたのだった。