「フサエさんはこれを手に入れたとき、誰かの本心を知りたいと感じていましたか?」


そう聞くと、フサエさんは途端に無言になってしまった。


自分の両手をジッと見つめている。


何かを思い出してくれているのかもしれない。


「3年前だよ」


フサエさんがとても小さな声でそう言った。


「3年前って、お爺ちゃんが亡くなった時の事?」


夏生がそう聞いた。


「そうだよ。その時に眼鏡を手に入れた」


「それって、お爺ちゃんが亡くなった事と関係があるの?」


夏生が聞くと、フサエさんは首を傾げた。


「おそらくね、そうなんだろうね」


そう言い、夏生の手をさするフサエさん。